なるべく自然に近いものを…という想いで、檜原村特有の窯土と石をふんだんに使い、昔から伝わる窯の構造をベースに竹の特性に応じた工夫を少し加えて、竹炭専用の土窯を作りました。 |
無限窯の窯は奥行き3m、横幅2.4mの卵の形をした伝統的な土窯です。 仏教を伝えた弘法大師が炭焼きの技術を伝えたと言われていますが、この卵形は思想的には物を生み出す意味合いがあるそうです。 また、物理的にはとても熱効率のいい形だそうです。 |
窯底・窯腰・天井すべてに檜原村の窯土を使いました。 最近は耐久性のある耐火レンガ・耐火セメントを使用している窯が多いですが、窯土の方が湿気の呼吸の度合いが多いため、乾燥時には炭材から湿気を吸い取り、炭化後期の水分が少ない時には逆に窯の中へ適度な湿気を加えるので緩やかな炭化を促進し、上質な炭ができると言われています。 |
窯底は地下からの湿気の進入を防ぎ、熱を逃がさなくするために厚く頑丈に作らなければなりません。 今回の窯は、砂利を10cmの厚さに、その上に窯土を15cmの厚さにたたき固めて作りました。 |
「窯腰」とは横壁のことを言います。外壁は15〜20cmの厚さの石で組み、内壁は窯土を10〜20cmの厚さで叩き固めて作りました。 昔の黒炭窯は大抵窯腰の内側を土にしています。 |
日の出町の窯では燃焼室と炭化室の間に障壁を設け、直接火が入らないようにして乾燥作業をしやすくしていたのですが、檜原の窯からは障壁をつけないようにしました。 障壁があると、最後の精煉のときに効率よく空気が入らず、温度が上がりにくくなってしまい、結果として十分な精煉が出来なくなる場合があります。 また、乾燥作業の際に障壁に甘えてつい火力を強めてしまうこともあります。 より短時間で薪をくべなくてはいけなくなり、火加減も難しくなるのですが、この方がより可能性のある焼き方ができると考えています。 |
写真を見てわかるとおり、無限窯の窯の大きな特徴は天井の勾配が緩やかなことです。 強度の関係などから土窯の多くはもっとこんもりと盛り上がった天井をしているのが普通ですが、この形の方が炭化が全体的に進み、また炭化速度がゆるやかになりやすく、上質な竹炭と、特にタール分の少ないきれいな竹酢液が採れる要因になっています。 その分強度が弱くなるわけですが(実際に、完成型になるまでは何度も天井を作り直すことになりました)、試行錯誤の末、檜原村にある4〜5種類ある窯土の中でも最も火に強い「青い土」と言われる土を厳選して使い、少し特殊な土の叩き方をしたのでヒビが非常に少なく、頑丈な天井が出来ました。 ちなみに、土窯は火が入っているときは膨張するので必ずヒビが入るもので、そのヒビの入り方が問題とされています。中心に向かって入るヒビは大丈夫で、輪を描くようなヒビは良くないと言われています。 |